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SEJ 日本のエネルギーを考える会

45号 コラム 黙ってはいられない;日本を混迷に陥れた二人の首相経験者


カテゴリ:  原子力政策    2012-8-6 15:10   閲覧 (4718)

1.あいた口がふさがらない


あいた口がふさがらないとは、総理大臣まで務めた菅氏と鳩山氏のこと。この両氏のおかげでこの国がどれだけ混乱し、国益を失ってきたか。充分に報道・批判されてきたことではあるが、思い出すだけで不愉快極まりない。

鳩山氏の場合、沖縄の米軍基地の移転問題に関する無責任な対応。私には腹案があると言いながら、何もなかったこと、これには日本中唖然とした。笑いこけた人もいただろう。無知、見識のなさ、あきれるばかり。この人は、友愛精神と称し「日本列島は日本人だけのものだろうか?」とのたまわったという。恐ろしいことである。中国は「尖閣諸島は中国領土だ」と云い、「沖縄はかつて中国に属した」と言いがかりをつけ始めた。我々は現中国大使のように中国の言うままになるのか。同氏が日本国籍は持つが純潔な日本人かと疑いたくなる。
先日は官邸周りの反原発デモに参加し不見識な発言をしている。これが総理大臣を務めた人がすることだろうか。こんな人間がどうして総理になりえたのか。当時のムードに酔い、彼の正体を見破れなかった我々がお人好しそのものであったのだろう。
菅氏とて同じようなもの。福島事故で対応を誤り、放射性物質を大量に放出した最大の責任者は菅氏である。IOJは当初から彼の重大な判断ミスを指摘してきた。民間、政府、国会事故調の報告書は表現の違いはあるものの、彼の重大な責任を指摘している。その後、何の反省もなく、外国では事実に反する談話を報道し民主党幹部のひんしゅくを買った。浜岡原発の法的手続きを無視した停止要請。思い付きのストレステスト導入。脱原発に向かうにしろ、やり方というものがあるはず。今の原子力問題でわざわざ国論を二分させ混迷を招いた責任は彼にある。そういう混迷を望んでいるとしか思えない軽挙な振る舞い。反対・推進で意見は異なっても、同じ国民同士。国益を失わないやり方があるはず。それで電気料金の値上げは抑制される。こういう可能性が短絡的に踏みにじられているのはどうかと思う。


また、退陣を巡ってあの見識のない鳩山氏にペテン師呼ばわりされて、何とも恥じない菅氏。「ペテン師と越後屋の高笑い」(参照:IOJだより 7号)を許した自然エネルギー発電量の全量買い取り価格制度の推進者。また、韓国の原発は中止する必要がないが日本の原発は中止すべきと主張し太陽光発電で莫大な収益を得ようとしている偽善的韓国出身の実業者との連携。
もっと憂慮すべきことがある。日本の原発を潰せば日本を弱体化できる。そのため外国資金が流れているという。これだけの反原発運動を継続させるのには巨額の資金がいる。どこから流れて来ているのか。日本はスパイ天国であることを
忘れてはならない。


今、もっとも警戒すべきは日本の政治を滅茶苦茶にした小沢一郎氏だろう。彼は生き残りをかけて国民の「反原発」ムードを利用して選挙に臨もうとしている。日本の将来より、己の政治的野心を優先させる人間だ。それを許すマスコミと我々有権者。本気で反省すべき時が来ている。



2.もう我慢が出来ない


野田政権は政権基盤が弱体である。菅氏をエネルギー問題の特別顧問にしなければバランスを維持できない。それでも、「原子力なくしてこの国は立ち行かない」と言明して、大飯3,4号機の運転再開を決めた。IOJはこれを高く評価した。しかし、福島事故でマスコミに煽られた一般市民が自然エネルギーの幻想に惑わされセンチメントに反・脱原発に傾いている。これが一部の職業的反原発派に大いに利用されていると思わずにはいられない。
日本の自然エネルギー政策は数年内に破たんする。ドイツやスペインの実態を見るとよい。自然エネギーの幻想を吹聴しこれを反原発デモに繋げ、その見通しのなさをデモなどでまやかしにする。この動きを自らの政治的野心に利用して、知事選にまで出馬した飯田哲也氏。日本を黙々と支えているサイレントマジョリティーが原発事故で冷静さを失っている時に乗じて大衆に幻想を振りまく挙動。
8月1日の新聞報道では、見識もなく恥を知らないこの両人(鳩山・菅)が、与党の新規制委員会委員人事案に対し、同意せず反対票を投じると表明した。冷静に判断すべき案件を政治問題化しようとする。民主党は一体どうなっているのか。野田総理はもう毅然とやるしかないのではないか。日本をこんな混迷状態に落としいれた民主党である。日本を憂うる国民として、福島での失敗を教訓にして新しい再生につなげたいと思うが、原発問題を人質に取られている構図の下では、国民の健全な判断と見識ある政治家の信念に期待するしか方策はない。破滅に繋がるかもしれない将来の「万が一問題」(参照:IOJだより 22号)を思えば、反原発運動は日本を間違った方向に導く。原発の代替エネルギーは当面存在しないと思うべき。8月2日の産経新聞の論説では、原発廃止は“地獄”をもたらすと論じていた。

3.国民の良識を期待したい


飯田哲也氏の主張を精査するとよい。実に巧妙な詭弁家である。自然エネルギーは基幹電力になり得ると喧伝してきた。彼はドイツを見よと言った。そのドイツでは、太陽光発電に10年間10兆円投資して現在の発電量は3%以下である。そして財政負担に耐えられなくなって、買い取り価格は数度にわたって引き下げられている。長い梅雨がある日本で、太陽光発電の限界は明白。これは数年先の日本の姿であろう。やがて、国民はとてつもない電気料金の値上げにびっくりする。企業の日本脱出。雇用の喪失。志があるとは思えないこれらの人々は、「国民が反原発の幻想にいつ気が付くか」、それまでが勝負だと思っているはず。国民が反原発の「空気」の金縛りにあっているうちに権力を握り、この国をいいようにしようとしている。その意図は政権を取って何一つマニフェストを実現できなかった民主党と同じ手口ではないか。


4.国際情勢


原発を徐々に少なくしていく、それはそれで妥当な選択かも知れない。しかし、考えても見よ。中国は後10年足らずで100基の原発を保有する。韓国も大きな増設計画を持つ。世界で原発を止める国もあるが、今後20年間で数百基が建設される。日本が原発で滅びれば、数百兆円市場で韓国、中国は大活躍、日本は蚊帳の外。国内で電気を節約し、雇用は失われ、若者たちの就職先はなく、明日への希望がなくなって、衰退の一途。いったい誰が責任を取るのか。民主党には“責任”という文字はない。結局責任を取らざるを得ないのは我々国民。福島の悲惨さだけに囚われて国の将来を決めてはならない。日本はどこか狂い始めている。



5.原発を政争の具にしてはいけない


国民よ、目を覚まそう。エネルギー問題は国の根幹だから一時の政党に左右されてはならない。センチメントに流されている市民に左右されてはならない。エネルギーの三択問題
で、原子力0%を選択する人が7割だと報道はいう。それは参加者が偏っているから当然と云えば当然。原発問題を政争の具にしてはならない。被告人の小沢一郎が原発問題を政争の具にして、見識や力量もないネームバリューだけの素人を再び国会に送るなどということがあったらこの国はどうなるか。それで国が被るダメージは深刻なものになる。日本がこのように自滅の道を歩むことを気にしないリーダー達。彼らを深刻に評価する時が来ているのではないだろうか。

結言:


さる6月12日、野田首相は大飯原発の再稼働やその後の原発の運転について明確な方針を打ち出した。また、政府はこの国のエネルギー全体の取り組み方を定めようとしている。この方針は極めて重要で、日本の将来を決める鍵となるものである。事故後の一時の感情や選挙対策をにらんだ党利党略で決めることがあってはならない。最良の取り組み方を決めるに当っては、これまで基幹エネルギーを担ってきた原発の信頼性回復を見極め、代替エネルギーが短期間で量的にかつ経済的に基幹エネルギーになりうるのか、火力発電への逆行は資源獲得競争が進む国際情勢の中でいつまで許容されるのか、日本が率先してきた地球温暖化対策をどうするのか、などを総合的に吟味しながら政策を決定しなければならない。
このようなことは、総理経験者は百も承知しているはずなのに、一部の反原発の国民感情に迎合し、常識では考えられない短絡的言動を行っている。この状況は私たち国民を愚弄するものではないだろうか。そういう人間が総理であった事実を私たちは恥ずかしく思うと同時に二度と許してはならないと思う。

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