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166号 会員の声 中国の原子力開発 -中国の現状を報道しない日本のマスコミー


カテゴリ:  会員の声    2019-4-23 7:40   閲覧 (415)


一部のマスコミは世界は脱原発だという。しかし、お隣の中国は国が生き残るためには原発は必須とし導入を進めている。それを触れないのも世論を操作なのであろう。165号に続き中国の取り組みを紹介する。


はじめに


165号では中国が積極的に原発の輸出商談を手掛けており、日本のメーカーは全ての商談で敗北を喫したことを伝えた。その主たる要因は中国の国家主導の原子力開発の成果であると述べたのであるが、具体的な状況については説明しなかった。日本の一部のマスコミは不可思議なことに日本国内では原発不要論を盛んに展開しているが、一方で中国の原発建設ラッシュについてはほとんど報道しようともしない。彼らの逃げ口上の典型的なものに、「報道の自由には、報道しない自由も含まれる」というのがある。彼らの好い加減な報道姿勢にも拘らず、IT時代の到来で、私たちも調べればいくらでも中国の現状を知ることが出来る。しかしながら、一般人は本当のことを知らされないでこれ等のマスコミによって「反原発」に誘導されていることもあると危惧される。このような認識の下、中国がどのような原子力開発を行い、国際市場でどのように活躍しているのか纏めてみた。

1.中国の原子力開発の現状


 中国は共産党の一党独裁であるが、彼らが原発を多数建設するのは急速に伸びている電力需要を賄わなくてはならないという積極的な意味があり理解できる。2018年の中国の人口が14億人と日本の約10倍で更に増え続けており、総発電設備容量は19億KWで前年比6.5%増となっている。この内原子力発電設備は4500万KWで、これだけでも既に日本の運用中の原子力発電所の設備容量を超えているのであるが、それでもたったの2.37%を占めているに過ぎない。中国の短期的な計画では、2020年時点で稼働中5800万KW、建設中3000万KWを実現するとなっており、この目標値は達成できると見込まれている。今後の中国の人口と電力需要の伸びを考えれば、国家計画目標である2040年までに102基を新設という数字もあながち絵空事とは言えないであろう。一党独裁国家の強みが最大限発揮されていると言えよう。

◆|羚颪任2018年には6基の原子炉が運転を開始しており、建設中も14基と日本の1950年代から60年代にかけての原子力開発の勢いに迫るあるいはそれを超える勢いで原子力発電所の建設が進んでいる。計画中も282基と想像を絶する基数が挙げられている。勿論、この計画が全て実現するのかどうかは今後の中国経済の成り行き次第ということになろうが、新増設を口にも出せない日本の状況と比較すれば、優位は一目瞭然であろう。更に2017年には高速実証炉CFR600「霞浦」を着工している。
 新規原発を次々と建設している結果、中国には原子力技術者がどんどん育っている。設備供給については、同時に40基を建設する能力を持ち、ほぼ国産化率100%を達成していると言っている。これまでに、AREVAの協力やウェスチングハウス社のAP1000の積極的な導入により、機器の製造も自前で可能になっているのであろう。国産化率100%というのは誇張があり、実際は85%程度であるとの分析もあるが、日本の状況よりははるかに優位に立っているのは間違いない。

2.輸出市場での活躍


 ―祥茲蓮⊇藉の小型原子炉は別として、商業用の発電炉は海外から導入した原子炉に依存していたが、今や「華龍一号」(PWR、1,000MW級)という自前の原子炉も開発を終了し、今後「一帯一路政策」に基づく原発輸出の炉型として既に開発を完了している小型炉「玲龍一号」(ACP100、100MW級)とともに活用していくという。
◆|羚颪砲聾業の輸出を担当する組織が3つ(中国核工業集団有限公司、中国広核集団有限公司、国家電力投資集団有限公司)あり、「一帯一路」構想に基づいて、陸と海のシルクロード沿線国家向けに約50兆円規模とも言われている原発市場で夫々が海外展開を行っている。みが最大限発揮されていると言えよう。


 各組織の売込中の炉型と交渉相手国は次のとおりである。
中国核工業集団有限公司:華龍一号と玲龍一号、更に高温ガス炉
パキスタン、アルゼンチン、サウジアラビア、イラン、エジプト、アルジェリア、ガーナ、カンボジア、タジキスタン、オマーン、スロバキア、ベラルーシ、シエラレオネ、ケニア、アラブ首長国連邦、タンザニア、スーダン、カザフスタン、ウクライナ、モルドバ、ナミビア、南アフリカ、インドネシア、スペイン、タイ
中国広核集団有限公司:華龍一号
イギリス、ルーマニア、タイ、カザフスタン、ケニア、マレーシア、チェコ、ポーランドと交渉中。
国家電力投資集団有限公司:CAP1400(中国独自開発の1400万KW級PWR)
南アフリカ、トルコ

3.中国の強み


 上に記載した中国の原発商談の相手国全てが、本当に原発を導入し建設、運転をしていけるのかどうかその経済力や技術力も慎重に分析する必要がある。興味は示していても、実現には多大な困難を克服しなくてはならないと思われる国もかなり含まれているからである。しかし、中国は共産党の判断で国策として原子力開発を大規模に進めているのであり、原発を導入した国々への人材の提供、資金の提供、性能保証の提供等は国を挙げて実行できるのであり、自由主義諸国と比べれば商談でも圧倒的な優位に立っている。

4.まとめ


 以上述べたように、反原発のマスコミがこぞって好感を持っている中国が国内だけで大規模な原子力開発をしているのではなく、一帯一路のルート上の国々の原発市場に大量に売り込もうとしているのが現実なのである。ここに掲げた多数の国々が原発の導入を考えているにも拘らず、朝日をはじめとする反原発新聞、NHKなどは、世界の趨勢は「脱原発である」と強弁するのである。若者たちはこれに気付いてこれらの新聞の購読をやめているようであるが、社会的にまだ影響力を持つ老人たちが無批判にこのような論調を受け入れていることが、日本の状況をさらに悪くしているのではないだろうか。(伊藤英二記)

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