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SEJ 日本のエネルギーを考える会

1.はじめに


 小泉純一郎元総理(以下、小泉氏)の脱原発に関する発言をまとめたものがネットに公開されている。読んでみて驚いた。発言内容はいとも単純で同じことの繰り返しだ。これこそシステム1(直感)に基づいた典型的な発言ではないかと思う。 


1)日本が原発の安全性を信じて発信してきたのは過ちだった。(日本食育学会・講演)
[ 日本の原発が40年間安全にかつ安価で安定した電力を供給してきた実績を無視している。原発は長期小泉政権の維持にも貢献したのではないか。]
2)原発が絶対に安全かといわれるとそうではない。これ以上、原発を増やしていくのは無理だと思う。(同学会講演)
[ 原発だけでなくあらゆる構造物の絶対安全は目標であって永遠に実現できない。これで困らないようにしてきたのが人知。人間は目標達成に向け安全性を高めて行くことしかできない。]
3)原発への依存度を下げ、世界に先駆けて自然エネルギーを推進しないといけない。(同学会講演)
[ 安倍政権は自然エネルギーを推進している。しかし、原発をベースロード電源としないと自然エネルギーの活用は難しい。大量の化石燃料をベースロード電源にすると環境破壊がひどくなる。

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1.誤解の分類と構造


誤解の原因は、問題の理解が論理的に正しくない場合と心理的なバイアスや直観的錯誤に起因する場合に大別できる。前者を論理的誤解、後者を心理的誤解、と呼ぶ。論理的誤解は正しい理解をしている人に正してもらえば問題なく解決できる。それ故、ここでは取り上げない。原子力の場合、心理的誤解が問題である。
誤解の研究(1)では、アンカー効果に基づく心理的誤解について分析した。論理的理解であるべきものが心理現象である“アンカー効果”によって歪められるという現象である。“放射能への恐れ”について、誤解の研究(1)で述べた内容を整理しなおすと以下のようになる。誤解の有りようは、
“アンカー効果”がシステム1に起因する直感的把握にバイアスを及ぼす初期過程、
正しいかどうかは別にして、それらの心理現象に基づいて、システム1とシステム2(論理的思考)が協業して論理的に納得のいくシナリオを作り上げ、それに自らが満足するという中間過程、
2つの過程を経た後、そのシナリオの中に安住でき他人の説得に馬耳東風でいられる状況、

という3つの過程が誤解形成のメカニズムである。

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はじめに


日本国内では、電力多消費産業の関係者ばかりではなく、若い世代にも原子力発電支持が多いのであるが、反原発を主張する朝日、毎日、東京の諸新聞の論調では、国民の半数以上が原発反対であるという報道になっている。彼らの都合に合わせたアンケートをしばしば行って、あたかも彼らの主張が正しいかのように報道するのである。 

彼等が本当に状況を正しく分析・評価して報道をしているとは思えない。
彼等は常に「公正」を売り物にしているが、原子力発電が関係するニュースの場合には「それは本当か?」と問い掛けたくなる報道に終始している。また、いわゆる「後出しジャンケン」報道が多い。つまり、事実が分かってから初めて尤もらしい批判を展開するのである。これらを総合して考えてみると、反原発新聞は、公正な報道をすべく努力をしているのではなく、彼らの都合が良いように世論を誘導しているとしか考えられない。あるいは、彼らには事実を客観的に分析・評価する能力が実は備わっておらず、都合の良いように作文をしているだけだという目で見ると、納得できる報道が多いのである。

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104号 放射能の“誤解”を考える−誤解の研究(1)−


カテゴリ:  会員の声    2015-3-11 6:10   閲覧 (2426)
1.システム1(早い思考)とシステム2(遅い思考)
この聞きなれない用語は、ノーベル経済学賞をもらったダニエル・カーネマンの [ファースト

&スロー:あなたの意思はどのように決まるか、ハヤカワ文庫 ] に出てくる用語である。
 直感的思考や知覚、記憶に基づいた思考はシステム1的と呼ばれ“早い思考”を特徴とする。友人を見て瞬時にA君だという認識はシステム1。システム2は時間をかけて頭を使う“遅い思考”のこと。3x4=12は記憶に基づいて即座にでき“早い思考”の結果。では、29x37の暗算はどうか。数分はかかる。これは時間をかけて頭を使う“遅い思考”を特徴とするシステム2。人間はこのシステム1と2を適当に使い分けて生きている。
 このような話をここで持ち出す理由はなにか。人々の“誤解”は一体どのように生じるのか、その心理的メカニズムは何か、について考察してみたいからである。
 同書には、システム1と2の他に、思考がどのような心理的要因に影響されるか、について多くの記述がある。種々の心理現象として、イ)アンカー効果、ロ)フロリダ効果、ハ)後光効果、ニ)メンタル・ショットガン、ホ)先行刺激効果、などが紹介されている。それらが特に印象的なのは、心理現象を筋道立てて説明する用語を持たないと“思い付き”しか語れないが、持てば心理現象を論理的に語ることを可能にする、という事実である。

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朝日新聞の朝刊連載に「記者有論」というコラムがありますが、2015年1月16日付で編集委員の黒澤大陸とかいう人が「大災害への備え 理学と工学の違い超えよ」という面白い記事を書いていたので紹介します。なかなか良いことを書いておりますので、原文を図書館などで読んで頂ければ幸甚です。
原子力発電所の安全対策を取り上げているのですが、理学者と工学者との間で根源的な意見の対立があり、「宗教が違う」と表現されるほどにその溝が深いと指摘しています。
そもそも、原子力発電所は、事故・故障や自然災害が起こっても大きな事故に発展しないように基準が定められており、まさに工学の塊なのです。しかしながら、福島事故を契機として、地震や津波の想定など不十分だとする理学者の理想論だけが独り歩きをし、工学者の意見が脇に押しやられてしまっているように見えます。

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1. はじめに


本号は“IOJだより”100号である。非力な私たちが3年以上に渡って、原子力の正常化に向けた努力をここまで続けられるとは今更ながら驚きである。またここまで来たかという安堵感もある。ボランティアとして参加してくれた編集委員諸氏が、侃々諤々の議論を重ねた結果100回に及ぶ刊行を可能とした。3年間で35万の閲覧件数は素人集団としては想定外であった。我々は少し胸を張っても良いのだろう。また“IOJだより”を愛読していただき、励ましの声をお寄せくださった会員諸氏には感謝あるのみである。
しかしながら、ここで諦めてはならない困難な課題がある。

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数日前(8月5日付)朝日新聞は日韓関係の重大な支障になっている“従軍慰安婦”に関する自らの報道が虚報であることを認めた。一連の虚報のおかげで我が国がどれだけ濡れ衣(ぬれぎぬ)を着せられ、国際的にどれだけ国としての尊厳を傷つけられてきたか、良識的な国民は朝日を許すことはできないであろう。しかも虚報であることを認めながら、論点をまやかしにして責任をとろうとしない。国会での証人喚問を行い、場合によっては廃刊に追い込むことも辞してはなるまい。

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福島原発の事故が起きて3年有余過ぎた現在でも地元福島では風評被害に悩まさ れています。ISO(国際標準化機構)の審査員である筆者は、審査の要領を用いて、朝日新聞 を例に風評被害の源泉を探ってみました。

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4月18日付日経新聞の夕刊に『「孤高の規制委五人衆」「独善」批判背に、福島の後
悔胸に』という記事があった。

この時点で一体何を言いたいのかといぶかしく思いなが
ら読んでみて、ガッカリするというか呆れてしまったのである。今年の9月には2名の
委員の任期が切れるので、その後任人事についての論評かと思いきや、書いてあること
は、殆ど取材の手間をかけずに手に入るような思い出話程度のもので、それを使って思
い入れたっぷりに規制委委員の一人一人を持ち上げる、まさしく提灯記事の最たるもの
であった。

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IOJだより 


放射線関連
編集局

コンカ氏がForbesに奇稿した記事のなかで、「USNCSERの報告書では、福島の原発事故による識別可能な人 体への影響はなかったとしている」と述べています。

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