1.はじめ
日本では「エネルギー基本計画」で安全性(S)を前提に、エネルギーの安定供給(Energy Security)、経済性(Economic Efficiency)、環境適合性(Environment)の3Eの同時達成を目指してエネルギー・環境政策を進めている。これらの目標に対して現状はどうなっているのか、欧米の主要国との比較ではどういう状況にあるかについて検討した。
1973年、1978年のオイルショックを経て、資源のない日本やフランスは純国産エネルギの原子力にかじ切ってきた。しかし福島原発事故の影響で多くの原発は廃止に追い込まれ、主要国で最低の8%という自給率となった。中国、インドの爆発的なエネルギー需要の増加に加え、ホルムズ海峡危機に代表される石油、ガスの獲得にかかわる国際紛争頻発しており、今後10年、20年後にオイルショックを超える紛争が再発しないとは言えない。日本経済の基幹となる電力は壊滅し未曽有の危機に襲われる。ともかく近い将来にはせめて電力の自立を図らなければならない。
日本では原発廃止の声が大きくなっているが、世界では新しい原発想の原発を作ろうとする動きがある。米国では国が主導して小型モジュール炉で、動力を用いない受動的安全性、工場生産の原子炉モジュール新しい発想の原発が実用化しようとしている。主要国も検討を開始した。
経団連会長は3月の定例記者会見で、「原子力を巡っては、好き・嫌いの感情的な議論ではなく、国や地球、人類の将来を含めもっと大きな捉え方をする必要がある。100年先、200年先を見据えれば、原子力は必要である。すべてのエネルギーを再生可能エネルギーで賄えて、国際競争力も維持できれば良いが、ハードルはかなり高い。
—中国の現状を報道しない日本のマスコミ—
一部のマスコミは世界は脱原発だという。しかし、お隣の中国は国が生き残るためには原発は必須とし導入を進めている。それを触れないのも世論を操作なのであろう。165号に続き中国の取り組みを紹介する。
昨年10月の菅首相のカーボンニュートラル宣言を受けて、12月25日に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」がとりまとめられ、“洋上風力発電は再生可能エネルギーの主力電源に向けた切り札である”と位置づけられた。
中国の原発の輸出攻勢は圧倒的なものであるのに、日本の輸出は全滅である。これを嘆く元商社マンはその原因は原発事故による農水産物の風評被害を放置したことにあるという。
昨年秋九州電力(以下九電)において日本(離島を除く)で初めて太陽光発電の「出力制御」(出力抑制)が行われ大きな話題となりました。昨年は合計8回にわたってこのような措置がとられましたが、年間を通して抑制された電力量は0.3%で、大きな影響はなかったといえます。