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SEJ 日本のエネルギーを考える会


【要約】
 昨年3月11日に東北地方太平洋沖地震が発生し、その後来襲した大津波で福島原発事故が発生した。大津波が起因したとはいえ、なぜ我国の電力会社や規制当局が想定外と言われる津波を認識して安全を守れなかったのだろうか。
 筆者はその根本原因は日本の規制及び日本社会がその意図とは逆に電力会社に安全性を向上させないように作用しているためではないか、これらが電力会社の手足を縛り、身動きできないようにしているためではないかと考え始めている。これに対し、電力会社は電気事業法に守られているがゆえに現状に甘えているためではないかと考え始めている

22号 歴史から見た「万が一問題」と原子力


カテゴリ:  福島事故    2012-1-13 7:20   閲覧 (2919)
会員の皆様、昨年は原子力界にとって想像を絶する大変な年でした。民主党政権になって2年半。随所で国力の低下が感じられた一年でした。本年は、皆様方と協働して新しい展望が開けるよう一層精進していきたいと思います。皆様のご多幸とIOJの発展を心より祈念いたします。

1.原子力と自然エネルギー

現在、日本は色々な意味で岐路に立たされている。福島原発事故によって先鋭化した原発問題はその一つ。事故発生後10カ月を経て冷温停止状態に達したものの、現場における汚染水処理や環境放射能の除染といった課題は未処理のため不安は十分に解消されていない。このため反原発の“空気”がマスコミに醸成され国民の間で猛威を振っている。事故の悲惨さを考えれば仕方がないと思う反面、それが重大な国家の運命に関わっていると思うと複雑な思いである。しかし、福島原発事故に負けて誤った結論を出してはいけないのも事実。反原発の結論を急ぎたい勢力が活発な活動を展開している現在、時間が問題解決するのを、腕を拱(こまね)いて見ている状況ではない。国民一人一人が事実を知ってしっかり発言して行くこと、それが結局、福島だけでなく日本の将来のためでもある。

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21号  原子力発電は本当に危険か  


カテゴリ:  原子力安全    2011-12-22 10:19   閲覧 (4704)



【要約】
14mの津波高さを想定して設備を設計していなかったことで、東電の責任が問われていますが、想定高さをどうすればよかったのかなど津波対策、対応の責任問題は、国の調査委員会などの評価、結論に譲りますが、新潟大地震に見舞われた柏崎刈羽原子力発電所では、安全設備で損傷した例は無く、福島第一原子力発電所でも地震発生後、津波襲来までは設計どおりに機器は動いていたことから、耐震設計は十分に機能していたことは間違いないようです。
津波によって、非常用ディーゼル発電機、電源盤等が冠水し、燃料タンク等が流されましたが、原子炉建屋、タービン建屋などは、びくともしていませんでした。このことは、津波に対して主要建屋の防水、耐水対策をしっかり実施しておけば対応できるということを意味しています。外部電源の確保、津波に対する防水、耐水対策を既設の原子力発電所に実施していくことは難しいことではありません。すでに、米、仏、英国などでは、対応をとっています。
放射能汚染による人体への影響が心配されていますが、炉心が全て吹き飛んだチェルノブイリ事故でも、・・・・・

20号 わが国のエネルギーのこと 


カテゴリ:  エネルギー    2011-12-13 18:34   閲覧 (5176)


【要約】
何を売り物に出来るのかと言えば、国内に天然資源がない我が国では、高度技術で作られた、つまり付加価値の高い工業製品である自動車や、カメラ、精密工作機械、高級電子機器がその役を務めているのである。
では、外貨さえあればエネルギー原料が安くふんだんに入手できると思い込んでいいのだろうか?中進国とも発展途上国とも言われてきた国々、とくに、韓国、中国やインドをはじめとする国々が近年急速に力を伸ばしてきて、我が国の技術を追いかけて来ている。安かろう悪かろうから、安い上に製品の品質は格段に向上しつつあって、日本の産業製品は国際市場において苦戦を強いられている。つまり少々高価だが高品質でやってきた日本製品の先行きは必ずしも明るくはない。
製造業のコストのなかでエネルギー価格は重要である。これらの国々とのエネルギー原料の国際的入手競争は激烈を極めてきている。取り合いの結果、限りある石油やガスなどのエネルギー原料の価格は間違いなく高騰していく。そうなれば、我が国の製造産業は、よりエネルギー価格の安い・・・(M.O. 記)

19号 世田谷のラジウム事件の不思議 


カテゴリ:     2011-11-30 15:36   閲覧 (4801)


【要約】
一般の人が見付けた結果大騒ぎになって、アッという間に静かになり、その後何も聞こえてこない「世田谷のラジウム事件」の顛末は何故か合点がいかないのです。
中略
今回のラジウム事件を機会として規制値の妥当性の議論が国民的規模でなされることを期待するのは、福島第一原子力発電所の事故によって放出された放射性物質による汚染が遠隔地でも過剰に恐れられていることに関係しています。もしも、世田谷で見付かったラジウムの線量が全く問題がないとしたら、今大騒ぎしている量がどのような意味をもつのかと考えるべきだからです。もしも、冷静で合理的な議論がなされたうえで、国民の多く(過半数)が納得して放射線量についての規制値を大幅に緩和することが出来れば、次のように状況の大きな改善が実現します。
1)現在避難生活を余儀なくされている多くの人達は自宅 に帰ることが可能になり、避難生活に伴うストレスや苦痛から解放されます。
2)廃棄処分をせざるを得ないとされている多くの食料が 救われ、販売が可能になります。
3)農地の汚染、海洋の汚染が有ると言われている結果、滞っている農・漁業の急速な再興が可能になります。
4)さらに農・漁業における風評被害が無くなり、これ等 を職業としている方々への経済的な打撃が緩和されます。
5)各地で行われている土壌の除染作業に伴う生産性のない膨大な経費を、復興のための前向きの作業、生産性のある作業に振り向けることが出来ます。
6)放射線量の調査のために大変な量の労力が費やされ ています。これをもっと有用な仕事に振り向けるこ とが出来るようになります。実は、人が動くと必ず 費用が掛るので、その費用を節減する効果もあるの です.

18号 会員の声 反原発に傾いている娘への父からの手紙


カテゴリ:  原子力安全    2011-11-18 9:50   閲覧 (4412)
いわゆる原子力村の出身者ではなく、エネルギー多消費産業に身を置いた父からの言葉として聞いて貰いたい。

17号  会員の声 放射能『オバケ』騒動


カテゴリ:  原子力安全    2011-11-2 9:50   閲覧 (4453)


TPPオバケ
政治の世界ではTPP(環太平洋経済連携協定)に関して参加推進派と慎重派が「オバケ」という言葉を使って双方を牽制している。推進派は「反対派は事実でないことにおびえて、つまり『TPPのオバケ』をもとに不安をあおっている」と言い、慎重派は「推進派こそ、TPPが持つ本質を言わない、つまり『TPPそのものがオバケ』なのだ」と非難合戦して大騒ぎである。

16号 原子力の新規制機関に関しての「提言」と閣議決定の違い 


カテゴリ:  原子力政策    2011-10-14 23:03   閲覧 (4833)


【要約】
IOJのエネルギー・環境部会では、望ましい組織改革がなされるように、会員の声をまとめ8月初旬に「提言」を作成し、国会議員及び報道機関に送りました。この提言の前提は、日本はこれからも安定的な基幹電源を原子力発電に依存せざるを得ないということでした。
原子力発電に関わる規制を改革する本来の目的は、より安全な原子力発電設備の運転が可能になり、国民が安心して必要十分な電気を使用できるようになる体制を整えることにあるはずです。現在の民主党内閣の中途半端な原発対応は、反原発になびいている国民の心情を荒立てること無く、実は将来のエネルギー供給体制を原子力に依存する方向に進めようとしているのだと解釈出来ます。その前提で私達が提言した本来あるべき新規制機関の姿と8月15日の閣議決定との違いをここで説明したいと思います。

15号 脱原発をして代替をどうするのか? 


カテゴリ:  エネルギー    2011-10-11 15:10   閲覧 (1972)


【要約】
お天気次第で気まぐれに働く風力・太陽光(利用率の平均値20%を想定)で全発電量の10%の発電量を得るということは、条件の良い時には、風力・太陽光発電容量が電力系統の中で50%以上としなければならない。現状技術では風力・太陽光のような不安定電源を送電系統の中で許容できるのは、高々10%程度と考えられる。50%以上とすることが出来るかどうかは長期的な研究開発課題であり、2020年代初期に答えを出して実現することは不可能と考えられる。
ただし、国としてこのような高い目標を掲げ、研究開発を進めることには意義がある。この目標に挑戦する過程の技術開発状況や経済の状況を踏まえ、柔軟に目標を修正することが現実的である。

原発代替を化石燃料とした場合の課題
この場合、京都議定書の約束は守れないどころか、炭酸ガス排出量は大幅に増加する。
年間何千億円となる排出権料を支払うのか、国際的な約束を破棄して方針を変えて反故にするのかを決めなければならない。
エネルギー資源高騰時には電力料金の大幅高が予測される。これを予測し、企業は生産工場の海外移転を今以上に急速に加速させるであろう。国内産業は空洞化し、失業者が大幅に増加することを覚悟しなければならない。
近い未来に、国際動乱により輸送ルートが断たれた場合、我国経済の根幹が揺らぐことになり、国民生活への影響は計り知れない。

14号 放射線被ばくを生活習慣にようるがん発生リスクと比較 9/15


カテゴリ:     2011-9-16 10:57   閲覧 (5381)


【要約】


福島第一発電所の事故の場合、一般住民に対しては避難等によって事実上の被ばく抑制の管理が行われている。それ
によって一般住民の放射線をあびる量は、最大でも100〜200 ミリシーベルトを超えることはないと考えられる。このレベルの放射線をあびることによるがんの発生するリスクの増加は1.1 倍になることが示されている。これは野菜不足によりがんが発生するリスクの上昇と同程度である。喫煙や週に450 グラムを超える飲酒では、がんの発生するリスクは1.6 倍になる。
放射線の場合、1000〜2000 ミリシーベルトを被ばくした場合には1.4 倍になることが示されている。